振り込め詐欺に気をつけろ!オレオレ詐欺編
「もしもし」「え?誰?」
「俺だよ、俺」「(息子の名前)かい?」
「そうだよ。(息子の名前)だよ」
こんなやりとりから始まる「オレオレ詐欺」。
高齢者を狙って電話をかけ、息子を装って金を銀行口座に振り込ませる詐欺手口です。
2004年頃から一気に広まり、警察やマスコミも注意喚起をしましたが、いまだに「オレオレ詐欺」に騙されてお金を振り込んでしまう人は絶えません。なぜ人は騙されてしまうのでしょうか。
「オレオレ詐欺」の詳しい手口を紹介しながら、騙されてしまう人の謎に迫ります。
息子と思い込みたい気持ち
騙されてしまったお年寄りの多くは子供と離れて暮らし、頻繁に会ったり電話したりしていなかった人でした。
子供と疎遠になっている寂しさから「俺だよ」と電話をかけてこられると「息子からの電話だ」と期待する気持ちが「(息子の名前)かい?」という言葉になって出てしまうのです。
詐欺師はそこをすかさず「そうだよ(息子の名前)だよ」としっかり心をキャッチします。
そして「風邪を引いてるんで声がへんだろ?身体もだるくて元気が出ないんだ…」といつもと話し方が違うことまでフォローします。親はいくつになっても子供が心配なので、様子が違うことをあやしむより先に「大丈夫?」と心配してしまうのです。
また、騙された人の多くが「息子に声・話し方が似ていた」と証言しているのです。
普通で考えてまずありえないのですが、これも「息子だと思い込んだ」気持ちが先にあると似ていなくても「息子だ」と感じてしまうのでしょう。そして高齢者は耳が遠くなっているので、聞こえにくい声を安易に判断してしまいがちでもあるのです。
自分を頼ってくれたという気持ち
お金を振り込ませるための理由は様々です。
「交通事故を起したら相手がヤクザだった。すぐに金を払えばゆるしてやると言われた」
「会社の金を使い込んでばれそうになってしまった」
「痴漢をして示談金を迫られている」
「人妻を妊娠させてしまい、相手の夫から訴えられそうになった」
…そしてその理由の多くに詐欺師が付け加える一言があります。
「こんなこと、嫁さんには言えない。母さんだけが頼りなんだ」こう言われると母親としては「私が助けてあげなくては」と強く感じてしまうのです。
人には言えないという気持ち
そしてこうした理由の多くには「世間に知られたら恥ずかしい」という要素が含まれています。
だからこそ銀行窓口やATMで係員から何か聞かれても、また「振り込め詐欺ではないですか?」とアドバイスされても「違います」と頑なに事情を話さず、まんまとお金を騙し取られてしまうのです。
だまされないためには
こうした「オレオレ詐欺」に騙されないようにするには、前から知っている息子の携帯電話番号に電話をしてみることです。振り込んでしまった人は「息子の前の携帯番号にもかけたがつながらなかった」と言いますが、解約による不通ではなく単に電話に出られなかった、留守電だったというだけのことも多いのに、冷静な判断ができなくなっているのです。
また、振込みを依頼する以前に「携帯電話の番号変ったから」と前もって連絡してくる手口も増えていますので、注意が必要です。携帯がつながらない場合は勤務先に電話するなり、一緒に住んでいる家族に電話して番号が変ったかを確認しましょう。
そして、こうした被害にあわないために息子と普段から連絡を取りあい、合言葉などを決めておくのもいいでしょう。「もしも本当に嫁さんに内緒でお金が必要になった時は、自分自身でお金をもらいに来る」とお母さんに約束した息子さんもいたそうです。
常に連絡を取り合えるようにしておくことがオレオレ詐欺の被害に合わない為のポイントになりそうですね。